独自のシンボルを作りたい
少し間が空いてしまいましたが、久しぶりのブログ更新です。
突然ですが、「チャートに(XAUAUDみたいに)通貨同士を好きに組み合わせたペアのレートを表示出来たらいいのに・・・」と思ったことありませんか?
そんなもの何に使うのよ?
これが意外にいろいろ使い道はあるのですよ。
ケース1 サヤとりの仕掛けポイント決定
「サヤとり」と呼ばれる手法があります。例えばオーストラリアドル(AUD)とニュージーランドドル(NZD)を利用したものなどが有名でしょう。
AUDとNZDは値動きに強い相関性があり、最近だとだいたいAUDの価格はNZDの価格の1~1.14倍くらいの間におさまります。
これを利用して、一時的に(NZDに比べ)AUDが高くなりすぎた時にAUD売りNZD買いのポジションをとり、(ZNDに比べ)AUDが安くなりすぎた時にAUD買いNZD売りのポジションをとり、適正な比率になり次第決済することで利益を上げていく手法です。
鞘取りトレードをする際はまず上限と下限を見極める必要がありますが、この場合はAUDNZDのチャートをみれば一目瞭然なので簡単です。(過去の上限と下限は。実際にやるのが簡単かどうかは別問題・・・)
しかしこれがWTIとブレントの鞘取りをしたいだとか、シルバーとAUDの相関を使いたいだとかという話になるとそうはいきません。WTI/BRENTやXGIAUDなんて通貨(?)ペアが提供されてるところは少ないでしょう。
このようなときに自分でWTI/BRENTやXGIAUDといった通貨ベアを作成してチャートに表示することができたらちょっと便利だと思いませんか?
ケース2 トライアングルアービトラージの下調べ
三角裁定取引とか言ったりもしますね。ほとんどの人にとっては実用的ではないでしょうけど、一応例として・・・
例えばEURGBPなどというクロス通貨ペアの価格はEURUSDとGBPUSDという二つのドルストレート通貨ペアを掛け合わせて提供されているのが普通です。よってEURGBPのレートは EURUSD÷GBPUSDと基本的には等しくなります。
しかしEURGBPのようにクロス通貨ペア自体の取引量が多い場合は稀に「EURGBPの提供レート」と「EURUSDの提供レート÷GBPUSDの提供レート」の間に一瞬の乖離が発生することがあります。
このような状況を狙って瞬時に「EURGBP買い+EURUSD売り+GBPUSD買い」のような組み合わせでトレードを行い利益をあげる裁定取引手法をトライアングルアービトラージと言います。
トレード自体はプログラムで行うのが普通ですが、下調べの段階で「EURGBPの提供レート」と「手元で計算したEURUSD/GBPUSDのレート」を並べて見れたら便利そうじゃないですか?
ケース3 マイナー通貨間相関確認
FX通貨ぺアのレートはあくまで2通貨の強弱関係を表したものにすぎません。
つまり2通貨の強弱関係を知りたいのであればその組み合わせの通貨ペアチャートを見ればいいのです。たとえばユーロとポンドの強弱関係や相関を知りたいならEURGBPのチャートを見れば一発でわかります。
ですが、これがトルコリラ(TRY)と南アフリカランド(ZAR)の強弱関係を知りたいとしたらどうでしょう?同じようにTRYZARのチャートを開けば一発で・・・って、そんな通貨ペア提供してるとこそうそうないですよね。
こんなときに手元で簡単に計算してチャートに表示することができれば便利です。
どうでしょう、ちょっと便利そうな気がしてきたのではないでしょうか。
それではMT5とcTraderでこれを実現する方法を紹介していきましょう。
MT5のカスタム銘柄機能
実はMT5には標準でカスタム銘柄機能というものが備わっています。
独自のシンボルを作成して、既存の通貨ペアの価格をもとにした計算式を定義することで、チャートに表示させることができます。
カスタム銘柄機能の使い方(MT5)
では実際に使い方を見てみましょう。例としてTRYZARのチャートでも作ってみましょうか。
まずは気配値表示ウィンドウで右クリックして銘柄一覧を開きます。(Ctrl+UのショートカットでもOK)
この画面出てきたら「カスタム銘柄を作成する」を選択します。
カスタム銘柄の各プロパティを設定する画面が出ますが、チャートに表示させるだけであれば「銘柄」と「複合商品の式」の二つを入力するだけで構いません。
どちらもダブルクリックで編集できます。「銘柄」には好きな銘柄名を、「複合商品の式」には価格の計算式を下記のような感じで入力します。
既存のシンボルの価格を用いて、作成した銘柄の価格を計算させる形です。既存シンボル名は" "で囲います。
あとはYesを押せばこんな風に作成した銘柄がCustomフォルダに表示されます。
これで他のシンボルと同じようにダブルクリックで気配値表示一覧に加えることもできますし、気配値一覧を右クリックでチャートを表示させることも可能です。
さすがにトレードすることはできませんが、チャートを表示させて一目で関係性を把握できるという点だけでもかなり便利な機能ではないでしょうか。
今回はチャート表示だけ紹介しましたが、もっと細かく設定すれば他にもいろいろできるっぽいです。(詳しくは知らないので公式ページでも見てください)
cTraderでもカスタム銘柄は表示できる?
残念ながらできません!
・・・そうなんです、cTraderだとこれができないんですよ。
まぁ確かにそこまで使う機能ではないですけどね。でも相関チェックするくらいのことはできてもいいじゃないですか。
計算式の定義だとか、その他もろもろ細かいプロパティとかはなくてもいいから、さくっと2つのシンボルの合成レートくらいは表示したいじゃないですか。
なんちゃってカスタム銘柄 MixRate
というわけで合成レートだけ表示させる用インジケーターを作ってみました。
パラメータで独自シンボル名を指定すると、ドルストレート通貨ペア探してきて合成レートを表示します。
例えばTRYZARと指定するとUSDTRYとUSDZARのレート情報を読み込んでインジケーターウィンドウにTRYZARのチャートを表示します。
こんな感じでインジケーターウィンドウに無理やり表示します。(メインチャートの通貨ペアはなんでもいいです)
今のところ本当にただこれだけの機能です。MT5の機能には遠く及びませんがちゃちゃっと通貨や資源の関係性見たいとは役立つかもしれません。
パラメータ
SymbolName
合成シンボル名を指定します。この名前に基づいてドルストレート通貨ペアを探してレートを合成します。6文字(XAGAUDなど)、もしくは/区切りで(CL/BRENTなど)で指定してください。
ブローカーによってここに指定する名前は異なります。例えばWTI原油/ブレント原油のチャートを表示したいならAxioryでは"CL/BRENT",TradeViewでは"XTIXBR"になります。
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